きっと、無意識のうちに惹かれていたのだろう
彼の持つ私と似て非なる闇に
その中にある孤独に
「初めまして、古泉一樹です。中途半端な時期の転入ですが、どうぞよろしく」
爽やかな笑顔。柔らかな物腰。
美少年と形容するに相応しい彼に好意を抱いたのは、私だけでは無かったはずだ。
「ねっねっ、由愛!あの転校生かっこいーね」
「そうだねぇー…」
地元の何の変哲も無い、どこにでもありふれた普通の公立学校。
その中でも学年に一つしかない、いわゆる特進クラス。
彼と私が出会ったのは、偶然だったのだろう。
全国にどれだけ高校があるかわからないから計算のしようもないが、この偶然は奇跡に近いということだけはわかる。
だけど、それだけのこと。
この出会いは偶然であっても、必然ではない。
彼にとって私は、クラスメイトの一人でしかないのだから。
「転校生っていうのはどいつ!?」
初めは“少し気になる男の子”、ただそれだけだった
「澤野さんとおっしゃるのですね。そう呼んでよろしいですか?」
人当たりの良い、イエスマンな彼。
いつも優しげな笑顔を浮かべている。
でも、何故だろう。
話せば話すほど、目で追えば追うほど。
感じる違和感の正体は――
「…古泉くんって、時々哀しそうな顔をするよね」
きっかけは、小さなこと。
だけど私にとっては後に大きな波紋を起こすことになる。
「夕方に突然すみません。少し付き合って頂いてよろしいですか?」
唐突の来訪。
「変わった方ですね。超能力者なんて非現実的な存在、そうあっさり信じてしまうなんて」
「悪いことは言わない。あいつはやめとけ」
「超能力者といっても、貴女が想像しているものとはだいぶ違うとは思いますが」
「駄目よ。だって、あんた面白味がないもの」
「何度聞こうと同じこと。貴女は何の能力もない普通の人間」
「あら、貴女どこかで見たことある気がする」
近くにいるのに、遠い。
私と貴方の距離。
「――ッ私、“普通”が哀しい!!
もし長門さんや朝比奈先輩みたいに“特別”だったら、キョンくんみたいに涼宮さんに話しかけていたら……ッ
……古泉くんと同じ…“超能力者”なら…ッそしたらもっと傍にいられるのに!!」
「貴女には関係ないことですよ」
「なんでもない、ただのかすり傷です」
「どうして…!神だかなんだか知らないけど、勝手だよ!!どうして古泉くんがこんな目に遭わなきゃいけないの!?」
涼宮さんなんて、いなくなっちゃえばいいのに―――
そうしたら彼は“普通”に戻って もっともっと傍に行けるよね?
もう 傷つかずにすむよね?
誰かの痛みを初めて痛いと感じた
誰かの痛みを初めて辛いと感じた
我侭で、一方的で、絶望的な恋
それでも、もう止まらない
止められない
「大好きだよ…」
どうか、こんなに貴方を想っている人がいることを忘れないで
裸足のシンデレラ(ガラスのくつなんてない、あるのはただ、あなたへのおもいだけ)********
ヒロインはフツーの子。前々から挑戦してみたかったのです。
いつもの私ならここは「世界を破壊する力を持つ」とかにしてます。
ハルヒの創造した世界を、唯一破壊して元の世界に戻せるっていう。
だから色んな勢力から注目されんだぜーみたいな。
でもあえてフツーにしたかったの。嫌われなの。
うーん、書きたいなぁ…どれも未だちゃんと形にしたことない設定ばかりなんだよなぁ…容姿とかすべて並とか。