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寒いってばよ
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パソがきてうれしすぎるのと、
前怒られた手前、
今日のバイトが憂鬱すぐるのであった…






【りゅーきゅーさんとばくまつにほん】


「最近西洋の連中がうぜぇあるが、琉球はちゃんと食べてるあるか?」
「うん、大丈夫。にーにのおかげだよ、いつもありがとう」
「りゅ~きゅう~かわいいある~大好きあるよ~!」
「わわっ」
「本当におめぇの兄とは天と地の差ある。あいつは昔から生意気で…それでも昔はまだかわいかったあるが…」
「えと、お茶入れてくるね」
「お願いするあるー」





「にーに、あの話しだすと長いんだよね…。…菊さんか…そういえば、ちゃんと会ったことないなぁ。見た目はわんと似てるっていうけど、どんな人かなー」
「そこの御嬢さん」
「ぬ?」

後ろから突如聞こえた、低い、でも心地よい声に振り返ると、キモノを着て頭巾で顔を隠している青年が立っていた。

「えと…」
「初めまして、と一応いうべきでしょうか。琉球さん」
「……?」
「おや、私が誰だかわかりませんか。それは残念。でも、私は貴女をよく知っていますよ」
「ぬ…?」
わんをよく知るという青年は、顔が隠れているとはいえ、まったく覚えがない。
「まぁいいです。今は…」
「!?」

青年がしゃがんだかと思うと、何かを差し出してきた。これは知ってる。お隣の日本国のおにぎりというものだ。白いお米が器用に綺麗な三角になっており、思わず手を伸ばしてしまう。

「お食べなさい。お腹がすいているのでしょう?」
「!?」

青年の言葉に目を見開く。何故それを知っているのか。にーにですら知らないというのに
先ほどはああいったが、本当は琉球の家はどんどん貧しくなっており、にーにの助けがあっても足りていないほどだった。しかし、それは誰にも話していない。心配をかけるから。そうじゃない。それが、隙になると知っているから。

「心配せずとも、誰にも言いませんよ。貴女のことは私が一番よく知っていればいい…」
「!?」

そう、横髪をかき上げるように撫でられる。その手の冷たさと、頭巾から覗く見慣れた黒い瞳の奥に見える得体のしれない感情が自分に向けられていることを本能で感じ、恐怖以上に嫌悪感を抱く。

「さ、さわらないで!にーに!にーに!変な人がいるの!たすけて!」
「おやおや…」

手を払いのけ去っていく小さな背中を青年はただ見つめる。

「怖がらせてしまいましたかね」

そう、広げたおにぎりを口に含む。ほんのりとあまい。

「私は日本。名は本田菊と申します。…またお会いしましょう、――」



その言葉は、空気に溶けて消えた。






おわり
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